Enjoy Ruffian No.219(2010年8月発行)より転載
競走馬の能力と素質
第1次募集の前期期日までに、多数のお申し込みを頂きました。ありがとうございます。予想を超えるお申し込み数に驚きましたが、「期待に応えて行かなければならない」と改めて責任の重さを感じました。
恒例の北海道牧場ツアーには、関東・関西圏はもちろん遠くは九州からお越しいただきまして、心から感謝申し上げます。毎年の事とは言え、ツアーのために数カ月掛けて会員の皆様を受け入れる準備に、牧場従業員全員が通常業務に加えていつも以上に環境整備や美化に時間を割きます。新・改築された競馬場も気持ちの良いものですが、牧場にも競馬場には無い魅力がたくさん有ります。まだ1度も来場されたことがない方には是非ツアーに参加または個人的に来場されることをお勧め致します。愛馬の違った一面を見つけたり、広々とした牧場で心がリフレッシュされたりする方も多いはずです。
さて、2歳の新馬戦がスタートし、その中で当クラブの馬達も近年では一番好調な滑り出しです。その原因はいくつか思い付きますが、主原因は個々の才能が他の競争相手より優れているからです。当たり前のようですが、実は業界内でもこの事を理解していない人が多数います。少々乱暴に言えば、競走馬が競うのは、人を乗せ如何に早く走り切るかです。その競走条件は障害競走を除くと、平地競走では芝・ダート・オールウェザー馬場、距離は大体1000~3000メートルと、かなり限定的です。当然ながら、芝の中距離が得意な馬もいれば、ダートの短距離が得意な馬もいます。その違いを個性だと言ったとしても、基本的なメカニズムや力学はほとんど同じです。人間のように、足が速かったり、絵が上手かったり、計算が早かったりと言った個性の幅とは全く違い、狭いのです。
では、なぜ素質が一番重要なのでしょうか。まず、競馬はチームのゲームでは無いので、個々の才能が重要です。若い時からの環境としては、肉体的にも精神的にも過剰なストレスが掛からない程度に競走馬としての必要な体力作りが重要です。しかし、この体力作りを工夫することで素質の壁を越えられるとは思いません。また、騎乗調教も大切ですが、ここでも過度な負荷にならない程度に騎乗運動を課していくのが基本です。この段階では乗り役の騎乗技術や調教の進度に関わる方針の違いは当然あります。しかし、新馬戦などのように力量に差が有る場合を考えてみると簡単です。例えば、乗り役の努力によって乗り役の指示に従順な馬が出来たとします。しかし、この馬にあまり才能がなければ、競走ではスタートと道中が良くても、最後の直線で勝負にならないことがあります。どんなに乗り役の思った通りに走らせても、道中引っ掛かる素質馬に敵わないことがほとんどです。当然ながら、目標のG1競走に万全の仕上げで挑む場合などには、そこまでの数ヶ月間は細かい配慮が必要になりますし、変な癖はレースの着順に影響を与えます。騎乗調教は決して軽んじられるものではありませんが、それでもG1競走まで駒を進められるのは素質があればこそです。
したがって、まずは才能のありそうな若馬を選ぶことが何よりも大切なのです。私どもは、たとえ人気の血統であっても素質に疑問のある馬はクラブの募集には入れません。ラフィアンでのご出資が会員の皆様にとっても良い選択となりますように、これからも厳しい選別を行い、馬の素質を最大限に引き出せる育成調教を目指してまいります。
2010年8月
株式会社サラブレッドクラブラフィアン
代表取締役 岡田紘和